2017年10月31日火曜日

ネパール Mero Sathi Project 2017 9月 報告書 (5) 吉野歩(東京経済大学経済学部国際経済学科3年)「また新たな自分へ」

Mero Sathi Project 2017 9月 報告書(5)

「また新たな自分へ」

東京経済大学 経済学部
国際経済学科3年
吉野 歩

 
 二週間におよぶネパールでの海外研修。たったの二週間だけだったがものすごく濃く、楽しくもあり、大変でもあり、喜怒哀楽全ての感情があった。様々な出来事を一気に経験しまるで一年間をぎゅっと二週間に凝縮したかのような密度の濃さであった。
私がこの研修中に感じたことはたくさんあり複雑で正直、自分でさえよくわからない部分もある。しかし確かなのは学んだこと数多くあること。本報告書では私がこれから生きていく上で特に大切だと思う学びについて述べていく。
 このネパールプログラムでは現地のメンバーと日本からの学生メンバー同士が一緒に活動していくわけだが、実際には、人間関係が複雑に絡み合っていくのを改めて痛感した。二週間という長さを四六時中、食事も寝床も仲間と共にするのは初めての経験だった。それだけ長い時間を共有すると仲良くなる分、相手の様々な面が見えてもくるのである。そして人には様々なタイプがあり、もちろん付き合いやすいタイプがいれば付き合いにくいタイプなどと合う、合わないがある。これは日本に居ても起こり得ることではあるが、国際交流の点で難しかったことはそれでも交流を続けなくてはいけないこと。それはもちろん、せっかく日本からネパールへ行き現地の人と交流できる貴重なチャンスをただ放棄してしまうだけではもったいない。そこでいかに自分が持っている力で人と関わることが出来るか発揮する場でもあった。
 その中でも私は「笑顔」を心がけた。これは初めてネパール人メンバーと会った時壁が打ち解け合うきっかけでもあったからだ。そして何より「笑顔」は万国共通であると知ったからだ。またここで感じたのは一緒にいようとチームで、団体で行動ができるようになるのが大切であること。一人わだかまりがあるからといって態度に示しては雰囲気を最悪にしてしまうこと。団体で活動していたからこそ改めて認識したことである。
 しかし、人と交流すること、特に国際交流は刺激をもらうことでもあり、自分自身を成長させてくれるものでもある。それは、村から別の村へ5時間かけて徒歩で向かった時のこと。私はあるネパール人メンバー一人と二人並んで歩いていた。長時間の移動だったので会話する時間が十分にあった。他愛もない話からだんだんと自分の夢、死ぬまでにやりたいこと、目標、など深い話をし始めた。彼女はこのプログラムだけでなくボランティアや支援活動などに参加し活発的、前向きそしてなにより周りに流されない自分自身を持っていた。私はどちらかといえば、相手に流されてしまうタイプなので憧れを抱いたと同時に、激励を受けた。
 あれもこれもやりたいと言った私に彼女は言った。
「JUST DO IT, 全部やってみればいいよ。人生一度きりなんだからやりたいと思ったことはやらなくちゃ!日本には私たちの国より、やりたいことができるチャンスがたくさんあるんだから!」
私ははっとした。彼女の言う通りだ。
 その通り、日本では彼女たちが暮らす国、ネパールに比べたらいろんな夢を現実にできるチャンスにありふれている。そのことをネパールに暮らすネパール人学生に言われて初めて気が付いた自分が情けなかった。
 自分の未来を切り開くチャンスがありふれている日本に居てそれを生かさないなんてもったいない。思い返してみれば、口だけでやってみたいことをいろいろと言っていたが、「忙しい」と自分の中で言い訳にして行動に移せないでいる時があった。「時間は作るもの」とよく耳にするが確かにその通りである。帰国後早速わたしは行動を起こした。あるボランティア活動に申し込んだ。今後もこのような積極的な姿勢で取り組みたい。あらゆることを経験して自分の成長に繋げたい。そうインスピレーションを与えてくれた素敵な仲間に出会えた。
 そしてこのプログラムでもっとも印象的だったのは貧困村でのホームステイ。これはメンバーの誰もが大きな衝撃を受けたであろう。確かにそこは想像を絶する場所で、不十分な電気、一日に二回のみの給水と決して便利な生活ではなかった。この様な場所に行くのは初めてでましてや今後訪問することもないかもしれない。まさに貴重な経験であった。
ネパールへ渡航する前、に関先生から、村では四日間ほどシャワーを浴びられないかもしれないと伺っていた。覚悟の上だったが運よく私のホームステイ先のホストファミリーは優しく、ゲストだからと言って、貴重な水を分けて二日ぶりにシャワーを浴びさせてくれた。久しぶりのシャワーそして期待よりも早く浴びられた嬉しさにネパールメンバーにそのことを話した。しかしそれは人を後々不愉快な思いをさせてしまう事になるとは思っていなかった。
 その時たまたま私とネパールメンバーとの会話を聞いていた日本メンバーは、「シャワーを浴びられていない人がたくさんいるのになんで自分は浴びるんだ」と私に言った。軽い気持ちで浴びた私はそんなことを直球に言われて驚いた。しかし後々自分の行動を考えみたら確かに、シャワーを浴びたいのに浴びられず我慢をしている側の立場からしてみればそれは腹立たしいことである。ここから私が学んだことは相手の状況・立場も考えること。今回の場合、みんながみんな同じ大変な思いをしている中自分は快楽をしてしまった。
 人を思うことはもちろん日本人のみならず何においても大切で異文化交流でも言えることだ。相手の立場になって考えれば、異文化を通じて感じる不愉快さも理解しようという気持ちになる。国際交流をする際、異文化は避けざるを得ない。でも一度、異文化への対応の仕方を学べば多面的な見方ができるようになる。その結果、視野が広がるだけでなく自分の心、そして人生そのものを豊にしてくれる。日本に留まっているだけじゃもったいない、もっと外の世界を知っている方がよっぽど面白い、そう気付かされた。
 私はやはり外国人や自分とは異なる経験をしている人々と交流できる環境にいることが好きである。このプログラムに参加しネパール人と活動して改めて自分は何が好きなのか、自分の「居場所」はどこなのかを知ることができた。さらに、自分ともじっくりと向き合えた研修でもあった。
 最後になるがこのような経験をさせてくれた、関 昭典先生をはじめコーディネーターの方々、支えてくれた両親、大学、そして苦楽を共有し一生忘れない思い出をくれた仲間、全員に感謝したい。

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